日本人の寿命というものはどんどん伸びてきていて、健康寿命は男女ともに80歳を超えていますね。
いまや認知症は高齢者になると多くの人々が患う疾患となっています。
今回はこれまで何千人もの認知症の患者さん達を診てきた、そして認知症かどうかの「診断のものさし」として日本中で広く使われている認知機能検査(長谷川式スケール)を開発した、専門医長谷川和夫さんの本を紹介していきます。
長谷川さんは2017年10月の88歳の時に自分が認知症である事を自覚し、世間に公表しました。
この本は2019年12月に出版されています。
まず第1章では認知症になった自分の体験が書かれています。
【本文から抜粋】
どうもおかしい。前に行ったことがある場所だから当然たどり着けるはずなのに、行き着かない。今日が何月何日で、どんな予定があったのかがわからない。どうやら自分は認知症になったのではないかと思いはじめたのは、二〇一六年ごろだったと思います。
第2章ではそもそも「認知症とは何か」について、認知症の定義や暮らしの障害、診断の流れなどがわかりやすく書かれています。
第3章では長谷川さんが「認知症になってわかったこと」が書かれていて、主に認知症の方をとりまく周りの家族や人々が、こういう風に認知症の方と関わってほしい。という内容でした。
私の心に響いた内容を本文から抜粋させていただきます。
【本文から抜粋】
まず何よりもいいたいのは、これは自分の経験からもはっきりしていますが、「連続している」ということです。人間は、生まれたときからずっと連続して生きているわけですから、認知症になったからといって突然、人が変わるわけではありません。昨日まで生きてきた続きの自分がそこにいます。
第4章では認知機能検査である「長谷川式スケール」開発秘話について書かれています。そもそもなぜ長谷川式スケールを開発したのかがわかります。
第5章は「認知症の歴史」について書かれています。長谷川さんがみた、ひと昔前の認知症の方々や家族のあり方、「痴呆」から「認知症」と呼び名を変更した経緯などがわかります。
第6章は「社会は、医療は何ができるのか」について書かれていて、高齢者の車の運転や、地域ケア、認知症治療薬についてがわかりやすく書かれています。
第7章は「日本人に伝えたい遺言」と称して、「皆さんに認知症についての正しい知識を持ってもらいたい」という内容が記載されています。
【本文から抜粋】
やはりいちばんの望みは、認知症についての正しい知識をみなさんに持っていただくことです。何もわからないと決めつけて置き去りにしないで。本人抜きで物事を決めないで。時間がかかることを理解して、暮らしの支えになってほしい。
認知症は決して他人事の病気ではありません。ご自身の身近な高齢者の方などにも多かれ少なかれいらっしゃるかもしれません。
将来的には自分の両親や兄弟などにも、そして自分自身にも起こり得ることではあるので知識として知っておくことは大切なことだと思います。
▼電子書籍版はこちらです▼
認知症を患った方がみている世界、周りはどのように接したら良いのか?などがわかる1冊でした。
興味のある方は是非1度読んでみることをオススメします!
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました☺️🌸